童話
僕はムキムキの体に憧れている。なぜなら、僕はガリガリだからだ。 いくら食べても太らない。 母さんは、羨ましいって言うけれど、僕はちっとも嬉しくない。 今はマッチョが流行っているから、テレビなんかではよくムキムキの人を目にするけれど、まだ僕は実…
夏の暑い日、僕はサイダーを飲もうとして、ペットボトルのふたを開けた。 すると、飲み口からサイダーがシュワシュワと吹き出した。 僕はあわててペットボトルに口をつけると、あふれ出したサイダーをゴクゴクと飲んだ。 ゴクゴク、ゴクゴク、僕は飲み続けた…
この国のどこかに、メロンクリームソーダの滝があるという言い伝えがある。 多くの人がその滝を探すことにチャレンジしたけれど、いまだに誰も成功していない。 だから、最近ではそんな言い伝え自体が忘れ去られようとしていた。 だけど僕は諦めていない。探…
姫様はスカートが大嫌い。 スカートなんかをはいていたら、男の子とかけっこした時負けてしまうからだ。 そんなわけで、姫様はいつもと釣りズボンをはいている。 母君は、「女の子がズボンなんてはしたない」と言うけれど、父君は「元気でよろしい」と言って…
僕はクッキー星のクッキー星人。 僕たちは他の星に行っては空からクッキーをばらまいているんだ。 僕らの目的はその星の人たちを僕らのクッキーのとりこにしてしまうことだ。 そうすれば、僕たちはお金がたっぷり儲かるし、他の星の人たちは僕らのおいしいク…
王様は大のシロップ好き。 コーヒーに入れたり、ソーダに入れて一日に何度もシロップを楽しみます。 その香りと甘さのとりこなのです。 お城のコック長であるピエールさんは毎日シロップを使ったメニューを作るのに大忙し。 だけど、王様はもっとおいしいレ…
今は冬。 降り積もった雪は3メートルにもなって、外に出るのも一苦労。 除雪車が作った道を犬のスワンと一緒に散歩するのが私の日課。 おばあちゃんが買ってくれた薄紫のふわふわコート。 大きなお花の刺繍がしてあるのも素敵だし、裾がスカートみたいに広…
僕はある日の放課後、友達のケンジくんと落とし穴を掘ることにした。 母さんにバレるときっとやめなさいと言われるから、僕は納屋からこっそりおじいちゃんの大きなスコップを持ち出したんだ。 ケンジくんのうちには大きなスコップがないから、僕は重いスコ…
学校帰りに毎日通る道が、ある日突然分かれ道になった。 今朝までは確かに一本道だったのに。 僕はどっちの道を選べばいいのか分からない。 片方は道端に小さな花が咲いていてとても素敵な雰囲気だ。 もう片方は草ボーボーであまりいい気分にはなりそうもな…
女王様は宝石が大好き。 世界中から素敵な宝石を探しては集めている。 だから、お城には毎日たくさんの宝石商人がやってくる。 今日も夜明け前から門の前には長い列ができている。 商人たちはお城にいる鑑定人のチェックを受けて合格するとお城の中に入る事…
放課後、僕は近くの山に犬のシロを連れて散歩にでかけたんだ。 いつもの散歩コースをいつものようにぶらぶらと歩いていると、山の斜面に穴があるのに気がついた。 「あれ、こんな穴あったかな」 僕は、腰をかがめると穴の中を覗いてみた。 中は暗くてよく見…
一日の終わりにカレンダーめくるのが僕の日課だ。 えいっと勢いよく今日の分をちぎり、くしゃっと丸めてゴミ箱に捨てる。 これでやっと今日が終わり明日を迎えるという気持ちになるんだ。 次の日の朝、目が覚めた僕は何気なくカレンダーに目をやった。 する…
ある日風に吹かれて麦わら帽子が飛んできた。 僕は思わずそれをつかんで、何も考えないでかぶったんだ。 すると、おかしなことが起こった。 僕は男なのに、急に女の子の様な気持ちになって、自分の格好が恥ずかしく思えてきたんだ。 僕は慌ててその帽子を脱…
学校の帰り道、僕は川に大きなスイカが流れているのを見つけた。 「ねえ、スイカが流れてるよ」と僕が言うと、 「取りに行こう」と友達が言った。 だけど、その川は広くて深いから、僕も友達も結局眺めていることしかできなかった。 「あーあ、行っちゃった…
かゆいところをポリポリ掻くと垢が出る。 ポロポロとこぼれ出た垢はすぐに小さな虫へと変化する。 そして、トコトコ歩いて外へ行くと地面に自分たちの巣を作り始めるんだ。 僕は小さい頃、初めて垢虫が自分の腕を這っているのを見た時、とても怖くて思わず泣…
僕の国にはピラミッドがいっぱいある。 あまりにたくさんありすぎて、他の国では大切にされているピラミッドが僕の国では邪魔もの扱いだ。 いくらなんでも邪魔ということはないだろうと思うかもしれないけれど、国の面積の95%がピラミッドだと言ったら、…
今日から待ちに待った夏休みだ。 だけど、僕にはゆううつなことが一つだけある。 それは、素麺だ。 僕には双子の妹がいるけれど、妹たちはまだ小さいから、夏休みになると母さんはあまりの忙しさに、いろんなことが面倒になるらしい。 母さんは、あまり料理…
今日は浮き輪レースの日だ。 浮き輪レースは、浮き輪をはめて泳ぐ早さを競うのだ。 僕は、一年間ずっとこの日のために練習を重ねてきた。 レースで泳ぐ距離は1キロだけど、僕は毎日10キロ以上泳いだ。 だから、絶対に負けたくない。 だけど、浮き輪レース…
僕はくらげタクシーが大好きだ。 くらげタクシーは透明でふわふわしているから、見ているだけで何だか優しい気持ちになる。 今日はこれから科学館に行くから、もうすぐくらげタクシーがうちにやってくるのだ。 僕がワクワクしながら家の前で待っていると、時…
僕の町には料理担当のラッコがいる。 というより、料理は全てラッコがやってくれるのだ。 だから、食事の時間になると、みんなは食材を持ってラッコの所へ行く。 ラッコがいるのは川だから、お腹がすいたら、まず川を探さなくてはならない。 家にいるときは…
僕の学校は砂漠の中にある。 地面は全部砂だから、普段は体育ができない。だけど、一年に一度だけ運動会が開かれる。僕は運動が好きだから、運動会は楽しみだけど、砂漠で運動会をするのは、とても大変だ。 開会式が終わると、すぐに玉入れが始まった。何し…
僕のクラスにはクイズくんと呼ばれている男の子がいる。 本当の名前は林くんだけど、みんなクイズくんと呼んでいる。 クイズくんは毎日大変だ。 何が大変かというと、クイズくんは一日のうちに何度も何度もクイズを思いついてしまうのだ。 それだけなら問題…
学校からの帰り道、積み木クラブと書いてある看板を見つけた。 僕は立ち止まると、少しの間その看板を眺めていた。 中から声が聞こえないかと耳をすませてみたけれど、何も聞こえない。 「誰もいないのかなぁ」 僕は中に聞こえるくらいの声で言ってみたけれ…
ここは、卵の国。 僕の仕事は、卵を配達棚に入れること。 卵の種類は次々と増えるため、今では100億なのか1000億なのか、それとも、もっと沢山なのか、誰にもわからない。 だけど、僕は、新しい卵が運ばれてくると、その卵が何の卵なのかを突き止める…