おはなしの森

短編・ショートショート・童話など、大人から子供向けまで、気ままに綴りたいと思います。

くらげタクシー

僕はくらげタクシーが大好きだ。 くらげタクシーは透明でふわふわしているから、見ているだけで何だか優しい気持ちになる。 今日はこれから科学館に行くから、もうすぐくらげタクシーがうちにやってくるのだ。 僕がワクワクしながら家の前で待っていると、時…

ラッコの料理番

僕の町には料理担当のラッコがいる。 というより、料理は全てラッコがやってくれるのだ。 だから、食事の時間になると、みんなは食材を持ってラッコの所へ行く。 ラッコがいるのは川だから、お腹がすいたら、まず川を探さなくてはならない。 家にいるときは…

砂漠運動会

僕の学校は砂漠の中にある。 地面は全部砂だから、普段は体育ができない。だけど、一年に一度だけ運動会が開かれる。僕は運動が好きだから、運動会は楽しみだけど、砂漠で運動会をするのは、とても大変だ。 開会式が終わると、すぐに玉入れが始まった。何し…

焼肉の日

僕の国では、一年に一度だけ焼肉の日がある。 子供の頃、僕は大人になるのが楽しみだった。 だって、焼肉の日があるのは大人だけだから。 そして、ついに今日、僕は初めての焼肉の日を迎える。 焼肉の日の一週間前に、国からハガキが届く。 ハガキには、僕が…

クイズくん

僕のクラスにはクイズくんと呼ばれている男の子がいる。 本当の名前は林くんだけど、みんなクイズくんと呼んでいる。 クイズくんは毎日大変だ。 何が大変かというと、クイズくんは一日のうちに何度も何度もクイズを思いついてしまうのだ。 それだけなら問題…

積み木クラブ

学校からの帰り道、積み木クラブと書いてある看板を見つけた。 僕は立ち止まると、少しの間その看板を眺めていた。 中から声が聞こえないかと耳をすませてみたけれど、何も聞こえない。 「誰もいないのかなぁ」 僕は中に聞こえるくらいの声で言ってみたけれ…

卵の国

ここは、卵の国。 僕の仕事は、卵を配達棚に入れること。 卵の種類は次々と増えるため、今では100億なのか1000億なのか、それとも、もっと沢山なのか、誰にもわからない。 だけど、僕は、新しい卵が運ばれてくると、その卵が何の卵なのかを突き止める…